高齢者の物忘れ 忘れているのではなく覚えられない
認知症の中核症状のひとつでもある記憶障害は、認知症になると多くみられる代表的な症状のひとつです。
アルツハイマー型認知症の特徴的な症状である記憶障害は、よくある「物忘れ」とは全く異なるものです。
記憶障害になると記憶が出来ない状態になりますので同じ話を何度も繰り返したり食事を食べたのに食べたことを覚えていないので「何も食べさせない」などの訴えをします。
Contents
記憶とは
記憶とは物事を忘れずに覚えていることです。記憶とは、ものごとを覚える「記銘力」
覚えた記憶をとどめる「記憶保持」記憶を引き出す「想起」という過程のことを指しています。
記銘力 | ものごとを覚える |
---|---|
記憶保持 | 覚えた記憶をとどめる。 |
想起 | 覚えた記憶を必要時に引き出す。 |
この過程のどこかが障害されることで記憶障害がでてきます。
また記憶は内容によって「エピソード記憶」「意味記憶」「手続き記憶」の3つに大きく
分けられます。
エピソード記憶 | 個人的な経験や社会的な経験に もとづく記憶 |
認知症の初期に現れやすい |
---|---|---|
意味記憶 | 言葉の意味や計算など学習する ことで覚えた知識 |
認知症の進行とともに現れる |
手続き記憶 | 泳ぐ、入浴や歯磨きなど体で覚えたこと。 | 認知症が進行しても比較的保たれている。 |
また記憶は時間軸で記憶しています。
短期記憶 | 数分から数日の記憶 |
---|---|
長期記憶 | 数週間から数十年の記憶 |
認知症では数分前などの出来事を覚える事ができなくなる短期記憶に障害が出てきます。
自分が行った数分前の出来事を覚えることが出来ないので「ご飯を食べたのに食べてない」
などの発言がみられてきます。
認知症初期ですとプライドが保たれているため聞かれたことを分からないのを気づかれないようにするため作話などをしてごまかそうとすることがよくあります。
逆に何年も前の出来事を覚えているなど長期記憶は保持されている場合が多いです。
記憶障害の症状
それでは、認知症では具体的にどのような症状が出てくるのでしょう。
物を覚えられない事から出てくる行動
- 無くし物をよく探している
- 何度も同じ話をする
- 日時が分からなくなる。
物を覚えられないと上記の行動がでてきます。
無くし物をよく探している
物をどこに置いたかを覚えられないため、常に何かを探しまわっているという行動が出てきます。
無くしたと思い込んでいる物自体、元々ない場合があります。
お金は家族が管理しているのにお金が無い。と探しまわったり頻繁に聞いてくることがあります。
認知症の症状が進行してくると「物盗られ妄想」「徘徊」がみられるようになってきます。
何度も同じ話をする
「今日は仕事じゃないのか」など同じ会話を何回もするのは、さっき話をした内容を覚えられないという現れです。
普通の人がさっきした話をまた繰り返すのとは違います。
延々と同じ話がループしていきます。
日時が分からなくなる
今日が何月何日何曜日なのか分からなくなります。認知症の初期症状では、約束した時間に現れない。病院を定期に受診できなくなるという影響が出てきます。
昔の出来事を覚えていますか?
記憶は、最近の記憶と古い記憶があり認知症では最近の記憶は覚えれないが昔の記憶は覚えていることが多いです。
昔の出来事や経験を覚えているかいないかで記憶の障害がどの程度進んでいるのか判断することができます。
まとめ
私たちは、普段生活していると「あれしたっけ?」、「この話前もしたことあるような気がする」というような物忘れをすることはよくあります。
加齢からくる物忘れでは、日時や大事な物を忘れてしまいます。
自宅でみていると常に何かを探しまわったり、同じ話を繰り返すなど、うざったいなと感じる場面も多いと思います。
なんで同じ行動をしているか理解を深めることで行動へのストレスも軽減されることもあります。