見当識障害(失見当)とは 認知症の中核症状
認知症の中核症状のひとつに見当識障害があります。読み方は「けんとうしき」と読みます。見当識障害になると今がいつで、どこで、相手が誰なのか判断がつかなくなります。
食事を食べたのに食べてないと言い出したりや家にいるのに「家に帰ります」というような言動は見当識障害が原因でおこる症状となります。
見当識障害とは
見当識障害は、時間や場所、人物を認識する能力が低下した状態のことを言います。
見当識が障害されると今日は何月何日か、今どの季節なのかや時間や場所、相手は誰なのかが分からなくなります。
見当識障害の発症には記憶障害や判断力障害が背景にあります。
見当識障害の症状
見当識障害は大きく分けて時間・場所・人物の3つの認識が出来なくなります。
時間的見当識の障害
- 今日が何年何月何日何曜日なのか分からない。
- 出来事の記憶があってもいつの事なのか分からない。
- 食事をいつ食べたのか分からない。
- 季節に合わない服装をする。
地誌的見当識の障害
- 街並みが分からなくなる。
- 建物風景が分からなくなる。
- 道順が分からなくなる。
- 現在地と目的地の位置関係が分からなくなる。
人物に関する見当識の障害
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- 家族や親しい人物を認識出来なくなる。
- 自分を認識出来なくなる。
- 身近な人物が、他人にすり変わっていると主張する。
- 誰かが押し入れに隠れている等の主張をする。
認知症の種類による症状
アルツハイマー型認知症では最初に時間的見当識の障害が現れます。食事を食べてないと訴えることや夏なのにジャンバーを着たりすることはよくみられます。
介護の現場でもそういう訴えに対応する場面はとても多いです。さらに認知症の進行とともに人物に対する見当識の障害が出てきます。
家族などの身近な人が分からなくなってくると認知症が終期に近づいているパターンが多いです。
レビー小体型認知症では見当識障害は比較的軽度な場合が多いです。幻覚や幻視が原因で症状がみられることがあります。
脳血管性認知症では、空間の左右どちらかに注意が向かないことで見当識障害が生じやすいです。